フリーレッスン集

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2人のギターで広がる音楽の可能性

バンドに他のメンバーが加わることには、メリットもデメリットもありますが、今回はギターが複数いる場合の話に焦点を当てたいと思います。

なぜ複数のギターが必要になるのか、どう使い分けると効果的か、やってはいけないことなども交えて見ていきましょう。

 

Darren McVeigh – MetalPlanetMusic.

 

なぜ2人以上のギターが必要?

ハモりのために

ギター・ハーモニーはエフェクトである程度再現できますが、人間同士で演奏することで、より柔軟で表現力のあるハーモニーが可能になります。
エフェクトでは固定された音程差やスケールの中でしか動けませんが、2人であればその場で自由に変化させることができます。

 

ソロ中のリズム・ギター

1人ギターのバンドでも、ソロ中にもう1本のギターがリフやコードを鳴らしていることがあります。スタジオ録音なら簡単ですが、ライブではそのニュアンスを出すためにもう1人ギタリストを加えることもあります。

 

サウンドに厚みを出す

「ダブル・トラッキング」というレコーディング手法があります。
これは同じ演奏を2回録音して左右にパンニングすることで、より広がりのある音を作るというものです。
人間が演奏する以上、微妙なタイミングのズレが出るので、それが“2本のギターが鳴っている”という自然な錯覚を生みます。

ちなみに、トラックをコピペして左右に振るだけではダメです。音が広がるわけではなく、単に音量が上がるだけになってしまいます。

ハーモニーの強化

複数ギターがいれば、同じコード進行でも異なるボイシングや転回形を使って音に厚みや変化を持たせることができます。

例えば、1人がオープンCメジャーコードをストロークしている時、もう1人がネック上のCコードの第1転回形をアルペジオで弾く、というようなアプローチです。

 

仲間と演奏する楽しさ

純粋に「一緒に演奏するのが楽しい」——これも忘れてはいけない大切な理由です。
音楽は人と共有する喜びでもあります。

 

 実例紹介

「Power and the Glory」- Saxon

https://www.youtube.com/watch?v=dHCAD95i5IU

NWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)を代表するバンド、Saxonの名曲。メインリフは途中から2人のギターがハモりに分かれる構成で、Aナチュラルマイナーに基づいたハーモニーが印象的です。

「Rope」- Foo Fighters

https://www.youtube.com/watch?v=kbpqZT_56Ns

Foo Fightersはギターが3人いますが、各パートがしっかり役割分担されており、音がぶつからず綺麗にまとまっています。この楽曲では、リフの下で異なるボイシングのコードが重ねられていて、アンサンブルの教科書のようです。

「Chase the Devil」- Max Romeo & The Upsetters

https://www.youtube.com/watch?v=H9oLSMSW4SI

レゲエの名曲。ギター1はレゲエ特有のオフビートのリズムを刻み、ギター2はコードを補強する短いリフを16分音符で刻んでいます。どちらのパートも独立して成立しますが、2本あることで完成されるサウンドです。

 

やってはいけないこと

やりすぎ注意!

過剰な重ね録りやハーモニーの入れすぎは、逆に曲を複雑にしてしまい、リスナーの共感を得にくくなることがあります。

例えばIron Maidenのように、2人がハモり、もう1人が下でリフを支えるようなシンプルな構成でも十分にカッコよく聴こえます。

 

同じことを弾くべきでない場面もある

前述の「ダブル・トラッキング」のように、同じ演奏を重ねることで効果が出る場合もありますが、逆効果になることもあります。状況によっては、違うコードボイシングやアルペジオ、リズムを使ってハーモニーを作った方が曲の完成度が上がります。
これは繰り返しの試行錯誤が必要です。

 

同じ音作りは避ける

同じような音色でギターを重ねると、サウンドが埋もれてしまうことがあります。
ジャンルに応じたバランスはありますが、少し違ったトーンで演奏することで、各パートが引き立ちます。

例:ジョー・パスのようなクリーン直挿しサウンドは、Cannibal Corpseのようなメタルには合いません!

 

最後に

「料理人が多すぎると料理が台無しになる」ということわざがあります。音楽にも同じことが言えます。ギタリストはつい目立ちたがる傾向がありますが、時には自分の役割を受け入れ、他のギターと協力することも大切です。

私自身、他のギタリストの指示通りに弾く立場、逆に自分が指示を出す立場、両方の経験があります。どちらの立場でも大切なのは、最終的に曲がよくなるかどうかという視点です。たとえばSteel PantherのSatchel(サッチェル)は1人ギターですが、必要最低限の場面だけバッキングトラックでサウンドを補強しています。

アメリカン・ギター・アカデミーでは、2人のギタリスト用にアレンジされた教材も多く扱っています。私もレッスンでよく両方のパートを生徒に教え、アンサンブルの理解を深めてもらっています。

それでは、これからもロックし続けましょう!

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