フリーレッスン集

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難しい人との付き合い方

どんな分野であれ、そして人生のどの時点においても、必ず何らかの形で「扱いにくい人」と一緒に仕事をすることになります。自分の仕事は、他人の行動や存在によって影響を受ける可能性があり、その影響は明らかなものから、気づきにくいものまでさまざまです。困難にどう対処するかはあなたのプロ意識の証でもあり、また「見切りをつけるべき時」を知ることは重要な分岐点になります。

このテーマについては、以前書いたに関する記事の続編のような位置づけでもあります。ただし今回の記事では、他人が引き起こすトラブルに焦点を当て、それをどう対処していくかについて書きたいと思います。

 

態度

これは私自身のキャリアで頻繁に出会ったわけではありませんが、時折「音楽的には完璧、場合によっては期待以上の実力を持っているのに、謙虚さに欠けていて態度が悪い」という人に遭遇することがあります。その態度が、バンド仲間や業界関係者(プロモーター、PA、テクニシャンなど)に不快感を与えてしまうのです。

イギリスの小さなライブハウスで働いていた友人の音響エンジニアから聞いた話があります。あるバンドが出演した際、ギタリストが現場に入ってすぐ「ギターキャビ用に3種類のマイクを要求」「設置角度の指定」「ステージ上でのモニター位置の細かい指示」など、とにかく細かい要求を並べ立てたそうです。それに対してエンジニアの返答は「SM57が1本あるだけ、モニターはボーカル用に1つだけ」でした。当然、そのギタリストは大騒ぎを始めました。

演奏自体は良かったものの、そのバンドは二度とその会場に呼ばれることはありませんでした。私自身も似た経験があり、ある代役ギタリストが1回限りのライブで演奏したのですが、ステージを完全に仕切ろうとしたのです。演奏技術は素晴らしかったのですが、次のライブでは別の人に代えざるを得ませんでした。

ここで大切なのは「その人の実力が態度の悪さを補えるかどうか」を見極めることです。時には「本人が問題を起こしていると気づいていない」場合もあります。その時は一度伝えてみて、相手の反応で判断すればいいでしょう。態度を改めてくれれば問題ありませんし、逆に爆発して悪化するようなら、次に進むべきです。

スキルレベル

「世界一のギタリスト」などというものは存在せず、「誰が誰より上手い」と言うのは狭量な考えです。しかし、演奏する場面や文脈を考慮する必要があります。もし大きなフェスのヘッドライナーなのに、半年教えてもまだパワーコードがまともに弾けない友人をメンバーに残すのは本当に良い判断でしょうか? もちろん「金銭的に助けてくれる」「一緒にいて楽しい」など別の理由はあるかもしれません。

しかし、もし演奏力が足を引っ張るのであれば、どうしますか? 正直に話し合い、小さなバーでのカバー中心のライブなど「失敗しても許される環境」なら問題は少ないでしょう。ただし大きなステージでは話が別です。

また、「遊びのバンド」と「仕事のバンド」は分けて考えるのがおすすめです。私も「楽しすぎて仕事と思えなかった」経験もあれば、「やることだけやって即退散」という現場も経験しました。

 

どれくらい「わかっていない」か?

表面的には上手そうに見えても、実際には全く状況を理解していない人もいます。例えば「サポートメンバーの交通費」を理解していないアーティストに出会ったことがあります。その場合は事前に交通費を確保する必要があり、時には「支払いがなければ出演しない」という最後通牒を出すしかありません。

また、会場側が「機材は揃っている」と言いながら、実際にはベースアンプ1台しかなかった…ということもありました。学生時代のライブで、PAも何もなく、それでどうにかライブを成立させたのですが、その顛末は一記事書けるほどの出来事でした。こういう時は、潔く中止せざるを得ない場合もあります。

講師としても、非現実的な目標を持つ生徒に出会うことがあります。例えば「ギターを全く弾いたことがない人が、1か月後に友人の誕生日でGary Mooreの“Parisienne Walkways”を弾きたい」という依頼を受けたことがあります。もちろん挑戦は歓迎しますが、現実的に無理があるので丁寧に説明しました。結局、その方は体験レッスンにも現れませんでした。

 

その他の問題

ここからは細かくは書きませんが、重要な点です。

体臭


狭いリハーサルスタジオで臭い人と過ごすのは苦痛です。普通にシャワーを浴び、デオドラントを使えば解決します。

時間の確保


どんなに完璧な人でも、仕事・家庭・他バンドの事情で優先順位が変わることがあります。その場合は、もっと信頼できる人を選んだ方が良いでしょう。

誠実さ


信じられないかもしれませんが「リハに行くより家でゲームをしたい」と言ってバンドをすっぽかす人もいます。過去に聞いた言い訳はこんな感じです:

  • 「忘れてた」

  • 「やる気がなかった」

  • 「飲みに行ったけど曲は知ってるから大丈夫」

こういう場合は友情よりバンドの存続を優先し、別の人に代えた方がいいです。

実際に、あるバンドのボーカルが全国ツアーの前座を務めるライブ当日の朝に「今日は歌う気分じゃない」と言い出したことがありました。病気でも多忙でもなく、ただ歌いたくなかったのです。彼は即クビになり、ドラマーがその日のうちに歌詞を覚えてリードボーカルを務めました。まさにロックンロール精神です。

最後に

大事なのは「同じ状況は二つとして存在しない」ということです。ここに挙げた以外にも無数の問題が起こり得ます。私のアドバイスや、先生や友人の経験を参考にしつつ、できる限りの準備をしましょう。問題はすぐに表面化するとは限らず、時間をかけて現れることもあります。

運転免許を取る時、試験に合格するための操作を学びますが、本当の学びは公道に出てから始まります。ギター演奏や「難しい人」との付き合いも同じです。経験を重ねることで、どう対処すべきか、いつ撤退すべきかを見極められるようになります。

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