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プロのようにエレキギターをセットアップ

エレキギターを正しくセットアップすることは、音色、演奏性、快適さといった面でその可能性を最大限に引き出す鍵となります。多くのプレイヤーはこの作業を専門のルシアーやギターテクニシャンに任せていますが、適切な工具、知識、そして細部への注意があれば、自宅でもプロが楽器店で行うようなセットアップが可能です。このガイドでは、あなたの演奏スタイルに合うようギターを細かく調整するためのステップバイステップのプロセスをご紹介します。また、避けるべきよくあるミスについても学ぶことで、時間や手間を省くことができます。

ステップ1:作業スペースの準備

ギターの調整を始める前に、適切な作業スペースを確保することが重要です。テーブルや作業台など、清潔で平らな場所を見つけて、作業が見やすいよう十分な照明を用意しましょう。ギターの塗装を保護するために、柔らかい布やタオルを敷くのもおすすめです。ネックを安定させるためにネッククレードルや丸めたタオルを使用すると良いでしょう。小さな工具をなくしたり、ギターを傷つけたりしないよう、作業スペースを整頓しておくことも大切です。

必要な工具も揃えておきましょう。ギターチューナー、ドライバーセット、六角レンチ(多くはミリ規格)、ストリングワインダー、カポ、定規または弦高ゲージ、フィーラーゲージが必要です。作業に取りかかる前にすべての道具を準備しておくことで、スムーズに作業を進めることができます。

ステップ2:ギターの弦を張り替える

セットアップの最初のステップは、弦の張り替えです。古い弦は音色やテンション、弾き心地が劣化しているため、正確な調整を行うには新しい弦が必要です。まず、手で、またはストリングワインダーを使って古い弦をゆっくり緩めて外します。弦が急に切れたり、ボディに当たって傷をつけないよう注意してください。

新しい弦を選ぶ際はゲージ(太さ)にも注意しましょう。弦の太さは弾き心地や音色に影響します。太い弦は豊かな音が出ますが、押さえるのに指の力が必要です。細い弦は押さえやすいですが、音に迫力が出にくいことがあります。

弦を1本ずつ取り付けていきます。まずブリッジに通し、次にチューニングペグに巻きつけます。少し余裕を持たせつつ、巻きすぎないよう注意しましょう。巻きすぎるとチューニングが不安定になります。弦が滑らないよう、均等できれいに巻くことが重要です。弦を急に締めすぎると切れる原因になるので注意が必要です。

ステップ3:トラスロッドの調整

トラスロッドはギターのネック内部にある金属棒で、ネックの反り具合を調整します。これは繊細な作業ですが、適切な弦高を得るために重要です。ネックが順反り(前方向に曲がっている)していると、弦高が高くなり弾きづらくなります。逆反りしているとビビリが発生することがあります。

ネックの反り具合(ネックリリーフ)を確認するには、カポで1フレットを押さえ、同時に6弦の最終フレットを押さえます。そして、7~9フレット付近で弦とフレットの間の隙間をフィーラーゲージで測ります。好みにもよりますが、約0.25mm(0.010インチ)の隙間が理想です。

調整が必要な場合は、ギターのヘッドやボディ側にあるトラスロッドの開口部を見つけ、適切な六角レンチで調整します。時計回りでロッドを締めるとネックがまっすぐになり、逆回りでゆるめると順反りします。一度に1/4回転ずつ、慎重に調整し、都度隙間を再確認しましょう。一気に回しすぎるとネックを傷めることがあるので注意が必要です。

ステップ4:弦高の調整

弦高とは、フレットから弦までの高さのことです。高めの弦高は激しい演奏でもビビりにくくなり、低めの弦高は滑らかな弾き心地になりますが、低すぎるとビビりやすくなります。

12フレットの上に定規を置き、フレットの上から各弦の下までの距離を測ります。多くのギタリストは高音弦(1弦)で約1.5〜2.5mm、低音弦(6弦)で約2〜3mmを好みますが、演奏スタイルにより異なります。

弦高の調整には小型のドライバーや六角レンチを使ってブリッジサドルを上下させます。各弦を個別に調整し、指板のカーブに沿ったアーチ状になるようにすると自然です。低すぎるとビビり、高すぎると演奏しづらくなるのでバランスが大切です。

ステップ5:オクターブ調整(イントネーション)

イントネーションを調整することで、指板全体を通してチューニングが正確になります。イントネーションが悪いと、開放弦は合っていてもコードやフレーズが音痴に聞こえることがあります。

チューナーで各弦をチューニングしたら、12フレットのハーモニクス音と、同じフレットを押さえた音を比較します。押さえた音が高ければ弦が短すぎるのでサドルを後ろに下げ、低ければ弦が長すぎるのでサドルを前に出します。

ドライバーで各弦のサドル位置を少しずつ調整し、都度チューニングをやり直すことが大切です。よくある失敗は、サドルを動かした後に再チューニングせず、さらにイントネーションが狂ってしまうことです。

ステップ6:ピックアップの高さ調整

ピックアップの高さは音色や出力に大きく影響します。弦に近すぎると歪みや不自然な磁力が発生し、弦の振動に悪影響を与えます。逆に遠すぎると出力が弱くなり、元気のない音になります。

調整するには、1弦と6弦を最終フレットで押さえ、弦の底とピックアップポールピースの上部との距離を測ります。一般的にはブリッジ側で約2mm、ネック側で2.5〜3mm程度が目安ですが、ピックアップの種類や好みにより異なります。

ドライバーでピックアップの高さを調整し、バランスを保つようにします。ネック側とブリッジ側で音量に差が出ないようにすることがポイントです。

ステップ7:ナットの調整(上級者向け・任意)

ナットの調整は上級者向けですが、チューニングの安定性や1フレット付近の弦高に大きく関わります。ナットスロットが高すぎると押さえづらく、低すぎるとビビりの原因になります。

確認するには、3フレットを押さえた状態で1フレットと弦の間の隙間をチェックします。隙間が大きい場合は、専用のナットファイルで少しずつ削って調整します。削りすぎるとナットを交換する必要があるため、慎重に行いましょう。

ステップ8:最終調整とチェック

すべての調整が終わったら、ギターを再度チューニングし、全てのフレットを弾いてビビりや音の詰まりがないか確認します。全体的な弾き心地と音を確認し、必要に応じて微調整しましょう。

トラスロッドなどの調整は安定するまで時間がかかる場合があるため、少し時間を置いて再度確認するのもおすすめです。

ステップ9:クリーニングとメンテナンスのヒント

ギターがプロ並みにセットアップできたら、基本的なメンテナンスも行いましょう。柔らかい布で弦や指板を拭き、皮脂や汚れを取り除きます。専用のギタークリーナーを使えば、ボディや金属パーツもきれいに保てます。定期的な掃除と、ケースやスタンドによる正しい保管で、セットアップの状態を保ち、ギターの寿命も延ばすことができます。

理想のプレイを目指して

プロのようにエレキギターをセットアップするのは最初は難しく感じるかもしれませんが、練習と忍耐、そして正しい道具があれば、この大切なスキルを習得することができます。これらのステップを踏むことで、ギターの演奏性、音、耐久性が大きく向上します。慣れてくるにつれ、ギターの構造や自分の演奏スタイルに合った調整方法への理解も深まるでしょう。より複雑な問題が出た場合はプロの手を借りることも考えつつ、自分の楽器を自分で管理できることの満足感をぜひ味わってください。

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