最適なセットリストの選び方
ある程度の期間が経つと(その長さは人それぞれですが)、やがて幅広く多彩なレパートリーが蓄積されていきます。その中には、多くのミュージシャンやアーティスト、バンドと共通する楽曲も多く含まれるでしょう。それ自体はまったく問題ありませんが、一方で自分ならではの個性的な曲もいくつかあるはずです。それらは自分で取り組んできたものや、これまでにリクエストされた楽曲かもしれません。
このブログでは、今後のライブに向けてセットリストを選ぶ際に、自信を持って決断できるようになるためのヒントを紹介します。

国(地域)
多くのミュージシャンにとっては大きな問題にならないかもしれませんが、海外ツアーや単発のライブでは、さまざまな理由でセット内容を調整する必要が出てきます。自分の中では「盛り上がる定番曲」と思っていても、他の国では同じように通用するとは限りません。自分にとって馴染み深い曲でも、他の人が同じようにその音楽を身に染み込ませているとは限らないのです。
また、文化的な配慮も重要です。薬物やアルコール、性的なテーマ、暴力的な内容などは、その土地の価値観に合わせて慎重に扱うべきでしょう。これは次の「オーディエンス」の項目にも関係します。
さらに、友人の多くが経験しているケースとして、クルーズ船での演奏や海外ホテルでの契約演奏があります。このような環境では、常にさまざまな国からの観客が混在しているため、誰にでも受け入れられる「万人向け」のアプローチを考える必要があります。
オーディエンス(観客)
海外での演奏と同様に、自国であっても観客に応じてパフォーマンスを調整する必要があります。例えば、観客の多くが子どもであれば、過激な言葉や示唆的な内容は避けるべきですし、介護施設などでの演奏であれば、現代の音楽はあまり知られていなかったり、好まれない場合もあります。
演奏者としては、その場の雰囲気を読み取り、柔軟に対応できる力が非常に役立ちます。ただし、それをバンドメンバーと共有できることや、機材的に対応可能であることも重要です。
以前在籍していたバンドでは、個人的に大好きな約8分の曲がありましたが、観客の反応が合わないと判断した場合には、その曲をカットしたり別の曲に差し替えたりしていました。これはセットリストに入っていない曲にも当てはまり、予想外の展開になることも何度かありました。
カバー曲とオリジナル曲
金曜の夜に地元のバーで演奏する場合、基本的にはオリジナル曲ではなく、観客が知っていて楽しめるカバー曲を中心に演奏することになるでしょう。それによって会場も盛り上がり、結果的にお店の売上にもつながります。
同様に、例えばロンドン郊外のバーで、日本のマニアックなパンク・プログレのカバーばかり演奏するのは避けた方がいいかもしれません。
一方で、オリジナル曲が中心のイベントも存在し、カバー曲が一切禁止されている場合もあります。中には「1バンドにつき1曲のみカバー可」というルールのイベントもありましたが、その場合でも原曲をそのまま再現するのではなく、独自のアレンジが求められました。
エネルギー(構成・流れ)
優れたギターソロや名曲と同じように、セット全体にもエネルギーの流れ(ダイナミクス)が必要です。最初から激しい曲を連発し、最後に向かって尻すぼみになってしまうと、観客は「物足りなさ」を感じてしまうかもしれません(しかも良い意味ではなく)。
逆に、いきなり一番の目玉曲を最初に演奏してしまうと、その後にそれを超える盛り上がりを作るのが難しくなります。
経験上、セットの中盤に少し落ち着ける時間を設けるのが効果的です。そこで一度リラックスさせてから、再び盛り上げていく流れが理想的です。そして最後はやはりピークで締めくくるのが良いでしょう。壮大なエンディングでも、心温まる曲でも構いませんが、あまり内省的すぎる曲は締めとしては適さない場合もあります。

最後に
一つ確かなのは、「予測可能すぎる内容は避けるべき」ということです。現在のバンドには毎回来てくれる熱心なファンがいるため、彼らにより良い体験を提供するため、そしてバンド自身の新鮮さを保つためにも、新曲や久しぶりのカバー曲を積極的に取り入れています。
数年前にイギリスで観たあるバンドは、演奏自体は素晴らしかったものの、セットリストが以前とまったく同じでした。こうしたことは世界中で起きていると思います。ただし、毎回変えすぎると、観客がそのバンドのスタイルを理解しにくくなるという側面もあります。
マンネリ化を防ぐには、毎回のセットリストを丁寧に選ぶことが重要です。多くのパーティーバンドは300曲以上のレパートリーを持っていますが、それを2時間程度にまとめ上げるには、経験と試行錯誤による洗練されたスキルが必要です。
最後にもう一つ忘れてはいけないのがアンコールです。アンコールはあるのか?そもそも許可されているのか?会場によっては時間や騒音規制の関係で禁止されている場合もありますし、事前に調整を求められることもあります。
実際、観客の強い要望でアンコールが実現したことも何度もありますし、逆にバンド側が演奏後すぐに帰りたくて、店のオーナーの「もう少し演奏してほしい」という要望を必死に断ったこともありました(詳細は省きますが、あまり楽しい現場ではありませんでした)。
あなたの音楽の旅が素晴らしいものになりますように。経験を重ねていけば、セットリスト作りの達人になるのもそう遠くはありません!

