フリーレッスン集

FREE LESSONフリーレッスン集

耳の疲労。本当に存在するものなのか?

大学にいた頃、ある客員教授から「自分が専門としていない分野をテーマにして卒業論文を書くのは避けたほうがいい」と言われたことがあります。例えば、社会経済的な観点からあるテーマにアプローチしたいと考えている学生もいれば、心理学的な側面を持つテーマを検討している学生もいました。

今回のブログ記事で扱うのは「耳の疲労(Ear Fatigue)」です。果たして本当に存在するものなのか、ということについて考えてみたいと思います。ただし、ここでは科学的な観点からこの言葉の正確な定義を調べたり、医学論文を書くようなアプローチをしたりするつもりはありません。あくまで自分自身の経験をもとに、こうした現象に対してどのように対処すればよいと思うかを書いていきます。

「耳の疲労」とは?

私自身は「耳の疲労」を、耳が本来のように機能してくれなくなる状態、と考えています。

例えば、あるプロジェクトのレコーディングやミックスをしていて、同じ曲を何度も何度も聴いているうちに、必要のない変更を加え始めたり、すでにやったことが嫌になってきたり、突然「この曲をこれからどう発展させればいいのか」が分からなくなったりすることがあります。

これは曲を書いているときや、バンドのディレクションをしているときにも起こり得ます。結果としては基本的に同じです。これは誰にでも起こることで、耳の疲労を感じ始めるまでの時間が決まっているわけでもありません。

実際、私はコード進行やメロディーを採譜しているときに、この状態になることがあります。そして、これはギタリストだけに起こるものでもありません。

主な原因は、単純に「繰り返し」です。あるものを数え切れないほど繰り返し聴いていると、本当に耳がおかしくなってしまうことがあります。

 

どうすれば防げる?

必ずしも、耳の疲労を完全に避ける方法があるわけではありません。ただ、その可能性を減らすためにできることはいくつかあります。

ミックスというよりも、たくさんの音楽を編集している場合は、異なるヘッドホンやスタジオモニターを使い分けるのも非常に有効です。ただし、基準となる音を確認するときには、当然ながら一つのリスニング環境に固定したほうがよいでしょう。

定期的に短い休憩を取ること、自分が「もうやめるべきだ」と判断できるタイミングを知ること、そして十分に休んで集中できる状態で作業することがおそらく最も重要です。ただ、それでも耳の疲労はいつの間にか忍び寄ってきます。

この問題そのものを避ける方法の一つは、前向きな気持ちで取り組むことです。状況に関係なく、本当にそのプロジェクトにワクワクしているのであれば、私はそのほうが作業がより速いペースで進みやすいと感じています。これを、よく言われる「スパーク(spark)」なのだと考える人もいるでしょう。

 

どうやって解消する?

難しいクロスワードパズルを解こうとしていたとき、先生からもらったアドバイスを今でも覚えています。その先生はただ、

「脳がもうそれに疲れているんだ。10分くらい別のことをして、それからもう一度やってみなさい」

と言いました。

私にとって、それはまさに目から鱗のような体験でした。まるで、まったく新しい目でそのパズルに挑戦しているような感覚だったのです。

音楽に関する問題に取り組むときも、同じことが非常に効果的だと感じています。別の曲に取り組んでみたり、曲を覚えようとしているときやフレーズの一部分を録音しているときには、いったん完全にその場から離れてしまうこともあります。

ここで一つ重要なのは、ときには「ゾーンに入っている」状態になることがある、ということです。これは無視すべきではありません。ただし、「ゾーン」とはいったい正確に何なのかを説明するのはかなり難しいものです。

ソングライティングに関して言えば、何週間、何か月、何年、場合によっては何十年もリフを温め続けるということも、決して珍しいことではありません。

頭の中にある音を現実の世界へ持っていくために、長い時間と大量の脳のエネルギーを使った結果、その曲やリフ自体にすっかり飽きてしまうことがあります。

それは無駄だったということではありません。ただ、その時点ではアーカイブにしまっておいて、いつかまた輝く日が来るのを待てばいいのです。

そこに恥じることは何もありません。私はいつも、「単純に耳が疲れているだけ」と考えるようにしています。

これは単純なコード進行にも、メロディーにも、リズムにも、完成した一曲にも当てはまります。

そして、これはアマチュアミュージシャンだけに起こることでもありません。音楽活動において創作を行う人なら、初心者からトップレベルのミュージシャンまで、誰にでも起こり得ることなのです。

ソングライティングについてもう一つ言えば、普段の自分の専門楽器を使って作曲していると、私たちはいつの間にかお決まりの演奏パターンに陥ってしまうことがあります。

それは、練習や演奏を通して身につけたパターンやフォームなどです。

こうしたものが、知らず知らずのうちにソングライティングのプロセスを邪魔してしまうことがあります。そのため、曲作りの途中で耳の疲労を解消するために、あまり慣れていない楽器に持ち替えるミュージシャンもいます。

これは、The American Guitar AcademyのインタビューでギタリストのNick Johnstonと話した内容でもあります。インタビューはこちらからご覧いただけます。

 

最後に

最近、「耳の疲労」というのは「イヤーワーム(ear worm)」の逆のようなものなのではないか、と考えていました。

イヤーワームとは、頭から曲が離れず、まるで永遠に繰り返されているかのように同じ曲が頭の中に残ってしまう現象です。

私は、この2つの現象はどちらもごく自然なものだと考えています。そして、実際に起こってしまうと、かなりイライラすることもあります。

あなたも耳の疲労を感じたことはありますか?

そのとき、どのようにして解消しましたか?

電話申込み
無料でプロ講師の
アドバイスを受ける
無料でプロ講師の
アドバイスを受ける
ページトップへ