フリーレッスン集

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ギターヒーロー:藤岡幹大(Mikio Fujioka)

私がBABYMETALの音楽に出会ったのは何年も前のことです。たしか、彼らが1stアルバムの高評価を受けた直後にヨーロッパツアーを行っていた頃だったと思います。当時は、アイドル風のボーカルとメタルサウンドがうまく噛み合っていないように感じていましたが、すぐに私の目と耳を奪ったのは、バックバンド「神バンド」の圧倒的な演奏力でした。特にライブでは、どうしても彼らに注目してしまいました。

 

(Photo Credit: Keasler Japan Limited)

 

神バンドのメンバーは頻繁に入れ替わっていましたが、当時は日本人ミュージシャンが中心でした。ベースのBOH、ドラムの青山英樹、そしてギターは大村孝佳と、今日の主役である藤岡幹大。…当時は彼らの名前すら知りませんでした。

数年後、私はアラン・ホールズワースの異世界のような音楽にどっぷり浸かっていた時期に、ある日本人ギタリストによる『Road Games』のカバーを見つけました。彼のスムーズでテクニカルなプレイに魅了され、並外れた才能とスキルを感じました。それ以上に感動したのは、彼がこの難曲を自分なりに解釈して弾いていたこと、そして何よりギターを弾いている彼が本当に楽しそうだったことです。その喜びが伝わってきました。

「このギタリストは他にどんなことをしているのだろう?」と調べてみると、彼があの神バンドのギタリストであり、私と同じくホールズワースのファンで、そして数ヶ月前に亡くなっていたことを知りました。調べれば調べるほど、聴けば聴くほど、私は彼の大ファンになっていきました。今では私のフェイバリットの一人であり、常にインスピレーションを与えてくれる存在です。

 

Mikio Fujioka (Allan Holdsworth) – Road Games
https://www.youtube.com/watch?v=YaGyXV6xFKM

私は現在、優れた講師であり世界的なギタリストでもある小林直樹さんと一緒に仕事をさせていただいています。彼は藤岡さんと亡くなる直前まで親しく仕事をされていた方で、ある夜ご一緒した食事の席で藤岡さんについて多くの話を伺いました。このブログ記事は、ギターヒーローシリーズであると同時に、小林さんへのインタビュー記事でもあります。

 

おすすめ音源

私は長年、日本の有名ブランドESPのギターを愛用しています。藤岡さんもESPのエンドースメントを受けており、シグネチャーモデルが2種類存在しました(6弦と7弦)。私も所有していたことがありますが、残念ながら手放すことになってしまいました。

私が彼の7弦モデルに興味を持ったきっかけとなった動画が、以下のリンクです。この曲は『バカテクぎたー』というヤング・ギターの別冊用に書かれたものらしく、タイトルは「メタル練習曲」。短いながらも、技術書の内容にしっかりマッチした楽曲です。

 

Mikio Fujioka – メタル練習曲
https://www.youtube.com/watch?v=tCvn3-t1FbE

また、藤岡さんに大きな影響を与えたギタリストの一人がジェフ・ベックです。彼へのオマージュとして書かれた『Harmony X』という楽曲には、まさに“どうやって出してるの?”と唸るようなハーモニクスの技法が詰まっています。

 

「藤岡さんはとても多才でしたよ!テクニックも非常に正確で、やりたいことは何でも本格的に再現できました」

 

小林さんとの対談で特に印象的だったのは、藤岡さんが“速弾きができる”だけでなく、それに依存していなかったという点です。彼には他にもたくさんの引き出しがありました。

Mikio Fujioka & 仮BAND – Harmony X
https://www.youtube.com/watch?v=Lo3AKkvz0lY

 

小林直樹さんとのインタビュー

以前、「憧れのヒーローに会うこと」についてのブログを書きましたが、小林さんとの対話は、藤岡さんに間接的に会えたような感覚を私に与えてくれました。実際にお会いしたことはなくても、彼の人柄がそのまま伝わってくるようでした。

藤岡さんと小林さんが出会ったのは2000年代初頭、MI大阪を卒業した直後に藤岡さんがMI東京で教え始めた頃だそうです。小林さんが何度も繰り返していたのが、「とにかくギターが大好きだった!」ということ。

 

「亡くなる週まで一緒に仕事していました。いつも笑顔で、まるでコメディアンのように楽しい人でした」

 

私はイギリスに住んでいた頃、Line 6のHX Stompと組み合わせるためのドライブペダルを探していました(DSP節約のためです!)。ある時、プレゼントで当たったペダルを売り、その資金でJ RockettのAllan Holdsworthモデルを購入。しかししっくりこなかったので、アメリカのコレクターに売却し、代わりに日本のMasatoneから「Caesar X Drive」を輸入しました。これは藤岡幹大シグネチャーのペダルで、ドライブセクションの名前は「Allan」—その理由、もうわかりますよね?

今でも私のペダルボードに組み込まれています。もちろん、これだけが彼の音色を構成する要素ではありませんが、大切な一部です。

 

「彼の演奏はとても印象的で、しかも“自分の音”を持っていました。いつどこで弾いていても、彼の音だとすぐにわかりました」

 

彼は演奏を心から楽しみながらも、真剣に取り組んでいました。これは本当に素晴らしいミュージシャンの証です。

 

「彼は音楽に対してとても真剣で、よくメールをくれてコラボを提案してくれました。ヤング・ギターで理論記事や書籍を一緒に書いたこともあります。何度もメールが来て、『これチェックして』って頼まれましたよ」

 

ギター講師の中には、演奏活動ができないから教えているという人もいます(※アメリカン・ギター・アカデミーの講師には該当しません!)。しかし、藤岡さんのように“教えること”を楽しみ、自己表現の一部として教えていた人こそ、本当の意味での教師だと思います。

 

「彼はとても好かれていました。生徒からも大人気で、誰一人として悪く言う人はいませんでした。ユーモアもあって、技術も見せられる先生でした」

 

本当に優れた講師とは、自分がやっていることを分かりやすく言語化できる人だと思います。藤岡さんのYouTubeレッスンは、私の拙い日本語力でも理解できる部分が多く、それだけ分解して説明する力に長けていたということです。

また、MI東京でのレッスン動画で、生徒とのジャムセッションを見たことがあります。彼は一緒に演奏することで、生徒にちょうど良いチャレンジを与え、決して“圧倒”するようなことはしていませんでした。ポール・ギルバートの言葉を借りるなら、「競争ではなく、ギターでの会話」だったのです。

 

「彼はお酒も好きで、友達と楽しく過ごすのが好きな人でした。最高の思い出は、MI東京でアーティストと共演していた姿ですね。ポール・ギルバートと同じくらい、彼を観に来る人もいました」

 

(Photo Credit: Takayoshi Ohmura/Instagram)

 

私が学んだこと

藤岡さんの演奏や教材を通して、私は多くのテクニックを学びました。特に、リックやフレーズのタイミングを8分音符ずらすことで、全く違ったフィールを生み出せるというアイデアは、上級者の生徒にもよく紹介しています。ペンタトニックや単純なリフのアプローチも、彼の影響で多様化しました。

また、精神的な面でも、自分の演奏をより受け入れられるようになりました。ライブで藤岡さんが見せていたエネルギーを少しでも自分の中に取り込めるように意識しています(ペダルボードに彼の顔があると、なんだか“神の見守り”のような気もしてきます…)。

 

(Photo Credit: Mikio Fujioka/Instagram)

 

最後に

藤岡幹大という世界的なミュージシャンが2018年に亡くなったとき、その影響は日本だけでなく世界中に広がりました。音楽関係者やファンだけでなく、多くのニュースサイトや音楽ブログが追悼記事を出しました。

「大村孝佳さんをはじめ、多くの優れたギタリストが彼から影響を受け、教えを受けました」

彼が“小神(こがみ)”と呼ばれていたことにちなんだ追悼イベント『My Little God』では、彼に敬意を表したパフォーマンスが行われました。今でも彼の音楽的エッセンスは多くのギタリストの中に生きています。

BABYMETAL、TrickBox、仮BAND、その他すべてのプロジェクトでの彼の演奏をぜひチェックしてみてください。彼のプレイを聴いて感動しない人を探す方が難しいと思います。

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