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4度の活用:究極の80年代メタル・トリック

4度の活用:究極の80年代メタル・トリック

1980年代のギター中心の音楽について語るとき、多くのギタリストがまず挙げるのは、「超絶技巧」が重視された時代だったという点でしょう。
エディ・ヴァン・ヘイレン、ジェイソン・ベッカー、ジョージ・リンチ、マイケル・アンジェロ・バティオなどを思い浮かべてください。彼らは驚異的なテクニックを持ちながら、優れたソングライターでもありました。現代のインスタグラム世代のギタリストが「技巧一辺倒」と評されがちなのに対し、彼らの音楽には楽曲としての完成度もあったのです。

今回は、当時の名リフに多く見られる「4度」という音程の音楽理論的応用について学びます。4度をどのようにリフに取り入れるか、どのスケールと組み合わせて活用できるか、そして具体例を分析していきましょう。

 

インターバル(音程)とは?

「インターバル」とは、2つの音の間の距離のことです。スケール内のどの2音間でも成り立ちます。ハーモニーは通常「3度」で作られることが多いですが、今回は「4度」に注目します。ある音から見て4度上、あるいは4度下の音を弾くことで成り立ちます。多くの場合スケール内で使いますが、スケール外の4度(いわゆるダイレクトなインターバル)を使うことも可能です。

以下に例を見ていきましょう。

Fig. 1 ではGメジャー・スケールの各音に番号を付けています。Gを基準にすると、4度上の音はCですね。

Fig. 2 ではGメジャー・ペンタトニック・スケールを示していますが、Cの音は含まれていません。それでもCを使うことは可能であり、これが「ダイレクトなインターバル」の一例です(文献によって表現は異なるかもしれません)。

Fig. 1

Fig. 2

 

インターバルの活用

今回の記事では主に「リフ」における4度の使い方にフォーカスします。単独で使ったり、連続して他の音程と組み合わせたり、ペダル・ノート(繰り返し弾かれる基準音)と組み合わせて使うと、非常に効果的です。ペダル・ノートは全体のハーモニーに文脈を与えてくれます。また、複数のギターパートを重ねる際や、他の楽器を支えるときにも4度を活用すると、演奏全体に深みを与えることができます。ジャズの文脈で学んだ「3度・7度の手法」とも共通点がありますが、80年代ロックでは形をもう少し柔軟に動かして使う傾向があります。リフ自体は変わらず、下で鳴っているコードが変化するというアプローチもよく用いられます。これにより、最小限の動きでとても印象的なサウンドを作り出せるのです。

下記に筆者作成のリフ例を掲載しています。タブ譜は Fig. 3 にありますので、ぜひ演奏例もご覧ください。

Fig. 3

使用例

それでは、実際に1980年代のロック楽曲で4度が活用されている例をいくつか見てみましょう。

Saxon – Power and the Glory

https://www.youtube.com/watch?v=dHCAD95i5IU

このリフは、以前YouTubeショートとブログ記事でも紹介しました。2つのギターパートが絡み合う構成で、まさに今回学んでいる4度のテクニックが使用されています。

Fig. 4 にあるように、G音を基準に3度→4度→3度という動きが繰り返されています(赤でハイライト)。非常に典型的な使い方です。

Fig. 4

 

Skid Row – Youth Gone Wild

https://www.youtube.com/watch?v=9RIeycixkK8

この曲は80年代の終わり頃にリリースされたもので、筆者がライブ前のサウンドチェックでよく弾くリフの1つです。

Fig. 5 に見られるように、3フレットから5フレットへスライドしています。リフ自体はGマイナーコードに基づいていますが、5フレットまで上がるのも問題なくフィットします。

この曲のギターはコードの一部を4度のインターバルで弾き、ベースがルート音を担当することで、パンチの効いたサウンドを実現しています。同じような手法は、より古い名曲「Smoke on the Water」(Deep Purple)でも聴くことができます。

Fig. 5

 

White Coast Rebels – Hanging With the Bad Boys

https://www.youtube.com/watch?v=pyM8DAPQ0Dg

個人的な好みで恐縮ですが、筆者が以前所属していたバンド「White Coast Rebels」の楽曲も紹介させてください。

加入当初から楽曲はすでに完成されていたため、すぐに演奏に加わることができました。Fig. 6 を見ると、Skid Row の例よりコード進行は少ないですが、動きそのものは似ており、1音高い位置で演奏されています。

このリフの肝は、3度と4度のパートを行き来する点にあります。

この曲を一緒に演奏したい場合は、ギターをEbチューニングにする必要があります。

Fig. 6

 

最後に

今回紹介した「4度の活用」は、80年代メタルの特徴のひとつではありますが、もちろんこれだけで名リフが生まれるわけではありません。

本記事および紹介した楽曲では、以下のようなテクニックも併用されています:

  • ペダルトーン

  • ハンマリング・オン/プリング・オフ

  • ビブラート

  • スライド

ギタリストとして、他にもたくさんの表現方法があることはご存じの通りでしょう。すべてに万能な解決法はありませんが、この「4度の活用」はスパイスのようなものと考えて、演奏や作曲の際にぜひ取り入れてみてください。

もしリフの習得に苦戦している場合は、ギター講師に相談してみるのも良いでしょう!

Keep rocking!

 

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